HCCJP 第77回勉強会

「Azure Arc、便利なのはわかった。で、壊れたら?」 — 運用で気になることを試してみた

毎月第2金曜日14時からはHCCJPの勉強会!9月は Azure Arc 対応サーバー を「実際の運用に入れる」 という話をします。

前回(第76回)は、オンプレのサーバーをその場で壊して、AIエージェントに直してもらいました。誰もそのサーバーにログインせず、VPNも踏み台もなしで、Azure 越しに調査から復旧まで通してしまう——Arc で繋いでおけば、オンプレの面倒くささはかなり消える、というところまではお見せできたと思います。

ただ、そこから「じゃあ本番でも使おう」に進むには、もうひとつ越える壁があります。

「便利なのはわかった。で、壊れたらどうなるの?」

こんなこと、気になりませんか

  • パッチを当てて壊れた。スナップショットで巻き戻したら、Azure 側はどうなるの?
  • バックアップから復元した。Arc の登録って、ちゃんと残ってるの?
  • Azure から配った拡張機能や構成が、巻き戻しで消えた。自動で戻ってくるの?それとも人が入れ直すの?
  • ポータルには緑の「正常」が出ている。それって実機の何を保証しているの?
  • エージェントが Azure と繋がらなくなったら、現地に行かずに直せるの?

この「気になる」を放置したまま本番に入れると、いざというときに困ります。逆に言えば、ここさえ潰しておけば、Arc は安心して運用に入れられるはずです。

なので、試してきました

実機のラボ(Windows Server 2025 / Ubuntu 24.04)で、片っ端から確かめた結果をお見せします。

1. まず「Arc で何ができるのか」を棚卸しします

繋いだあとに何が手に入るのかを、公式の分類に沿って整理し、実際に動かして確認します。

分類 手に入るもの
統制 マシン構成(OS設定をコードで監査・適用)、Azure Policy、タグとRBAC
保護 Microsoft Defender for Servers / Endpoint、Microsoft Sentinel への連携
構成 Azure Update Manager、VM拡張機能の配布、リモートでのコマンド実行、変更履歴とインベントリ、Azure Automation
監視 VM Insights、Azure Monitor Agent によるログ・メトリック収集
その他 マネージドID での認証、Arc 経由の SSH、Arc Gateway(必要な通信先の削減)

中心になるのは Azure Update Manager です。Azure のVMもオンプレのサーバーも、同じ1画面でパッチの状態を見て、メンテナンス時間を決めて、まとめて当てられます。オンプレ側は Arc で繋ぐだけ、通信はアウトバウンド443のみ。

さらに 2026年5月、Windows Server 2025 の Hotpatch が Arc 接続マシンで追加費用ゼロになりました再起動を伴わずにパッチを当てるという選択肢が、オンプレの資産にそのまま、しかも無料です。ご存じでしたか?

一方で、オンプレを混ぜた瞬間に有料になる部分もあります。課金の線引きがどこにあるのかも実際の数字でお見せします。

2. そのうえで「万が一」を実際に起こします

スナップショットを取り、Azure 側から変更を進め、そして巻き戻す。バックアップから復元したときに Arc の状態がどうなるのかも整理します。

Azure 側とローカルの状態がズレたとき(ドリフト)に、何が起きて、何分で、どこまで自動で追いつくのか。 ログのタイムスタンプ付きで、そのままお見せします。

結果は——きれいに自動で追いついたものと、追いついてこなかったものに、はっきり分かれました。 WindowsとLinuxで挙動が違った部分もあります。

3. 持ち帰っていただきたいのは「戻し方」です

大事なのは怖がることではなく、「こうやれば元に戻せる」を手元に持っておくことです。

  • スナップショットとバックアップは役割が違う。どちらを、どういうときに使うのか
  • Arc の登録が壊れたときの復旧手順
  • 復元・巻き戻しのあとに確認すべきことのチェックリスト
  • 公式手順がカバーしている範囲と、その外側の見分け方

ここまで揃えば、「じゃあ運用に Arc 入れてもいいね」「Update Manager も使っていこう」 と言えるようになる——そういう回にしたいと思っています。

視聴方法

YouTube Live(HCCJPチャンネル)で配信します。

配信URL: TBD

セッション内容

「Azure Arc、便利なのはわかった。で、壊れたら?」 — 運用で気になることを試してみた

胡田 昌彦(日本ビジネスシステムズ株式会社 / Microsoft MVP)

  • 前回のおさらい — Arc で繋ぐと、オンプレの面倒くささはどこまで消えるのか
  • Arc 経由で使える機能の棚卸し — 統制/保護/構成/監視
  • Azure Update Manager — オンプレもクラウドも1画面。何が無料で、どこから課金されるのか
  • 無料になった Hotpatch — 再起動を減らすという選択肢
  • 【実機】万が一を起こす — 巻き戻したとき、Azure 側の変更はどうなるか
  • バックアップ/復元と Arc の状態 — 何が残り、何が消え、どこから手作業になるのか
  • 戻し方チェックリスト — これがあれば運用に入れられる

こんな方におすすめ

  • Azure Arc 対応サーバー を検証はしたが、本番運用に入れる判断ができずにいる方
  • オンプレの Windows / Linux サーバーのパッチ運用に悩んでいる方
  • ハイブリッド環境のバックアップ・復旧設計を見直したい方
  • 「動くのは分かった。で、壊れたときどうなるの?」が気になるタイプの方(歓迎です)

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