毎月第2金曜日14時からはHCCJPの勉強会!9月は Azure Arc 対応サーバー を「実際の運用に入れる」 という話をします。
前回(第76回)は、オンプレのサーバーをその場で壊して、AIエージェントに直してもらいました。誰もそのサーバーにログインせず、VPNも踏み台もなしで、Azure 越しに調査から復旧まで通してしまう——Arc で繋いでおけば、オンプレの面倒くささはかなり消える、というところまではお見せできたと思います。
ただ、そこから「じゃあ本番でも使おう」に進むには、もうひとつ越える壁があります。
「便利なのはわかった。で、壊れたらどうなるの?」
こんなこと、気になりませんか
- パッチを当てて壊れた。スナップショットで巻き戻したら、Azure 側はどうなるの?
- バックアップから復元した。Arc の登録って、ちゃんと残ってるの?
- Azure から配った拡張機能や構成が、巻き戻しで消えた。自動で戻ってくるの?それとも人が入れ直すの?
- ポータルには緑の「正常」が出ている。それって実機の何を保証しているの?
- エージェントが Azure と繋がらなくなったら、現地に行かずに直せるの?
この「気になる」を放置したまま本番に入れると、いざというときに困ります。逆に言えば、ここさえ潰しておけば、Arc は安心して運用に入れられるはずです。
なので、試してきました
実機のラボ(Windows Server 2025 / Ubuntu 24.04)で、片っ端から確かめた結果をお見せします。
1. まず「Arc で何ができるのか」を棚卸しします
繋いだあとに何が手に入るのかを、公式の分類に沿って整理し、実際に動かして確認します。
| 分類 | 手に入るもの |
|---|---|
| 統制 | マシン構成(OS設定をコードで監査・適用)、Azure Policy、タグとRBAC |
| 保護 | Microsoft Defender for Servers / Endpoint、Microsoft Sentinel への連携 |
| 構成 | Azure Update Manager、VM拡張機能の配布、リモートでのコマンド実行、変更履歴とインベントリ、Azure Automation |
| 監視 | VM Insights、Azure Monitor Agent によるログ・メトリック収集 |
| その他 | マネージドID での認証、Arc 経由の SSH、Arc Gateway(必要な通信先の削減) |
中心になるのは Azure Update Manager です。Azure のVMもオンプレのサーバーも、同じ1画面でパッチの状態を見て、メンテナンス時間を決めて、まとめて当てられます。オンプレ側は Arc で繋ぐだけ、通信はアウトバウンド443のみ。
さらに 2026年5月、Windows Server 2025 の Hotpatch が Arc 接続マシンで追加費用ゼロになりました。再起動を伴わずにパッチを当てるという選択肢が、オンプレの資産にそのまま、しかも無料です。ご存じでしたか?
一方で、オンプレを混ぜた瞬間に有料になる部分もあります。課金の線引きがどこにあるのかも実際の数字でお見せします。
2. そのうえで「万が一」を実際に起こします
スナップショットを取り、Azure 側から変更を進め、そして巻き戻す。バックアップから復元したときに Arc の状態がどうなるのかも整理します。
Azure 側とローカルの状態がズレたとき(ドリフト)に、何が起きて、何分で、どこまで自動で追いつくのか。 ログのタイムスタンプ付きで、そのままお見せします。
結果は——きれいに自動で追いついたものと、追いついてこなかったものに、はっきり分かれました。 WindowsとLinuxで挙動が違った部分もあります。
3. 持ち帰っていただきたいのは「戻し方」です
大事なのは怖がることではなく、「こうやれば元に戻せる」を手元に持っておくことです。
- スナップショットとバックアップは役割が違う。どちらを、どういうときに使うのか
- Arc の登録が壊れたときの復旧手順
- 復元・巻き戻しのあとに確認すべきことのチェックリスト
- 公式手順がカバーしている範囲と、その外側の見分け方
ここまで揃えば、「じゃあ運用に Arc 入れてもいいね」「Update Manager も使っていこう」 と言えるようになる——そういう回にしたいと思っています。
視聴方法
YouTube Live(HCCJPチャンネル)で配信します。
配信URL: TBD
セッション内容
「Azure Arc、便利なのはわかった。で、壊れたら?」 — 運用で気になることを試してみた
胡田 昌彦(日本ビジネスシステムズ株式会社 / Microsoft MVP)
- 前回のおさらい — Arc で繋ぐと、オンプレの面倒くささはどこまで消えるのか
- Arc 経由で使える機能の棚卸し — 統制/保護/構成/監視
- Azure Update Manager — オンプレもクラウドも1画面。何が無料で、どこから課金されるのか
- 無料になった Hotpatch — 再起動を減らすという選択肢
- 【実機】万が一を起こす — 巻き戻したとき、Azure 側の変更はどうなるか
- バックアップ/復元と Arc の状態 — 何が残り、何が消え、どこから手作業になるのか
- 戻し方チェックリスト — これがあれば運用に入れられる
こんな方におすすめ
- Azure Arc 対応サーバー を検証はしたが、本番運用に入れる判断ができずにいる方
- オンプレの Windows / Linux サーバーのパッチ運用に悩んでいる方
- ハイブリッド環境のバックアップ・復旧設計を見直したい方
- 「動くのは分かった。で、壊れたときどうなるの?」が気になるタイプの方(歓迎です)
過去回のアーカイブ
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